中村 博行 院長の独自取材記事
双愛整形外科
(宝塚市/逆瀬川駅)
最終更新日:2024/12/02

阪急今津線・逆瀬川駅から徒歩7分。緑豊かな川沿いに位置する「双愛整形外科」は、ガラス張りのドーム状の外観を特徴とする3階建ての医院だ。1995年の開院以来、地域に根差した診療を行っている。「手術とリハビリテーションは整形外科では一体」という考えのもと、中村博行院長は専門職との連携を重視。充実した設備を活用し、日常的な痛みの治療からスポーツ選手のリハビリまで、患者一人ひとりの目標に合わせた診療を提供。骨粗しょう症の予防啓発など、地域に向けた取り組みも行う。「患者さんの生活の質の向上を目標としています。患者さんがやりたいことができるようになり、幸せに生活してもらうのが一番の喜びです」と朗らかに語る中村院長に、医院の取り組みについて聞いた。
(取材日2024年11月7日)
地域に密着したより専門的な医療を志して
先生の生まれ育った宝塚を選び、開院された理由を教えてください。

順天堂大学卒業後、大阪大学整形外科に入局し、さまざまな医療機関で整形外科の医師としての経験を積み、1995年に開院しました。「地域に密着しながら、高度な医療を提供したい」という思いが開業の原点です。生まれ育った宝塚だからこそわかる地域特性を生かし、患者さんの暮らしに寄り添う医療の提供をめざしたいと考えたのです。阪神淡路大震災の影響で開院が1ヵ月遅れたものの、充実した診断装置とリハビリ室を備えた有床診療所としてスタートしました。以来、地域医療の担い手として歩み続けています。
整形外科の中でも先生のご専門分野は何ですか?
専門は膝関節手術、特に膝関節鏡視下手術です。開院当時はまだ珍しい手術でしたが、より患者さんに負担の少ない治療を提供したいと考え、早くから取り入れました。医療の進歩は日進月歩であり、患者さんにより良い治療を提供するためには、学び続ける姿勢が大切です。整形外科医として40年以上のキャリアを重ねる中で、基本的な技術の習得だけでなく、常に新しい医療技術の研鑽を続けてきました。
患者さんからはどのようなご相談が多いですか?

診療の約2割を占めるのが変形性膝関節症のご相談です。変形性膝関節症で手術が必要なケースは少なく、多くの場合は適切な治療とリハビリで症状の改善が期待できます。また歩行時の痛みや違和感など、日常生活での不安を抱える患者さんが多いです。他にはスポーツによるけがの相談もあります。運動療法を中心としたリハビリのプログラムで、競技復帰から予防まで幅広くサポートしています。
「手術とリハビリは整形外科では一体」の考えを重視
痛みの緩和や除去を図るリハビリと運動療法に力を入れてこられたそうですね。

ええ。治療のゴールは患者さんによってさまざま。痛みだけを取り除きたい方、日常生活の動作を改善したい方、スポーツに復帰したい方など、個人により異なります。そのため、目標を明確にした上で、その方に合った治療とリハビリの計画を立てることを大切にしています。診療では体の状態だけでなく、生活環境や困り事にも耳を傾けながら、心身両面からのケアを実施。この姿勢がなければ、患者さんは安心して治療に専念できないと思います。また理学療法士や看護師は、医師とは異なる専門的な視点で患者さんをサポートしてくれます。医師による治療と理学療法士によるリハビリ、看護師によるケア、この3つが調和することで、より早い回復や症状の改善につながります。お互いの専門性を尊重し合いながら、患者さんの笑顔のためにベストを尽くすよう心がけています。
院内には珍しい施設が充実していると思います。そのこだわりをお聞かせください。
当院の運動療法では、理学療法士による筋力強化や動作・姿勢の改善をめざすアプローチを重点的に行います。保険診療の範囲内でしっかりとした効果が見込めるよう、一人ひとりの状態に合わせたプログラムの組み立てを行っています。その中でも特に力を入れているのが、スポーツ選手向けのリハビリです。別棟には投球練習場を設け、けがからの復帰をサポートしています。スタッフは競技特性や体の仕組みについて日々研鑽を重ね、けがの予防やパフォーマンス向上にも取り組み、患者さんの目標達成に向けて支援しています。
開院から30年近く続けてこられた中で、治療とリハビリについてはどのようにお考えでしょうか?

開院以来、手術とリハビリは一体という考えのもと、診療を行ってきました。手術で終わりではなく、その後の生活や競技復帰を見据えたリハビリが重要だと考えています。そのため2023年までは診療所内に入院設備を備え、患者さんの手術から退院後のリハビリまで一貫した治療を提供してきました。現在は外来のみの受け入れではありますが、近隣の提携医療機関とも連携しながら、手術が必要な大きなけがの治療はもちろん、その後の回復期のリハビリにも力を入れていますね。患者さんの生活の質を高められるよう、継続的なケアを心がけています。
患者の人生にどれだけ関わり、寄り添えるかを大切に
患者さんを診る際、大切にしていることをお聞かせください。

開業医として大切にしているのは、患者さんの人生にどれだけ関われるかということです。例えば手術の時期を5年先延ばしにしたことで、患者さん自身の環境に変化が起こり、手術ができなくなってしまうということもあり得ます。そうなると、あの時にもう少し踏み込んで声をかけていればという後悔につながってしまいます。そんな状況を起こさないようにも、相手の考えを尊重しながら、言葉の奥にある真意をくみ取ることを心がけています。また、若い頃は仕事一筋でしたが、今では人生に「遊びとゆとり」が必要だと実感しています。「バーのマスター」のように、何でも気軽に話してもらえる存在でありたいですね。
地域に向けての取り組みとして、骨粗しょう症の外来や骨粗しょう症の教室を開催されているんですね。
当院では骨粗しょう症について専門的に学んだ看護師が中心となり、骨折予防のための啓発活動を展開しています。外来や教室では、専門的な知識に基づいた指導をもとに、基礎知識の説明から食事・運動などの生活習慣のアドバイスまで幅広く行っていますよ。また将来の健康を見据えた予防が重要だという考えから、若い世代への啓発に特に力を入れています。親御さんにも関心を持っていただけるよう、わかりやすい説明を心がけています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

当院は街のかかりつけ医として、手術後も含めて患者さんの人生に寄り添う医療をめざしています。大規模病院では急性期に入院・手術をして治療が終了することが多いのですが、ここではリハビリ施設も併設してあるので、治療後も長期にわたって通院していただけます。患者さんの人生に関わることができて、そのストーリーの中で少しでもお役に立つことができればそれが私たちの喜びです。整形外科の一般的な疾患やけがの治療はもちろん、スポーツによる外傷や介護保険対象の通所リハビリまで、幅広いニーズにお応えしています。理学療法士と看護師とともに、患者さんに合った治療計画を立て、より良い未来に向けて尽力させていただきます。何かお困りのことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。